AIエージェントとは?業務効率化に役立つおすすめツール10選
更新日 2025年12月03日
AIエージェントは、目的に沿って情報収集・判断・タスク実行までを自律的に進められる便利なツールです。カスタマーサポートの一次対応、社内ナレッジ検索、バックオフィス の定型業務など、「人が手を動かしていた工程」をまとめて短縮できるため、業務効率化の打ち手として注目が集まっています。
一方で、どこまで自動化できるか、長いやり取りの安定性、実務で動くかなど、比較すべきポイントは多く、なんとなく選ぶと期待した効果が出ないこともあります。
そこで本記事では、課題にあわせたおすすめのAIエージェントを厳選してご紹介します。AIエージェントの基本から生成AIとの違い、導入メリット、種類、選び方までを整理して解説。導入シーン別の活用事例や費用相場、注意点もまとめて紹介するので、自社に合うAIエージェント選定の参考にしてください。
ここからは、おすすめのAIエージェントを厳選してご紹介していきます。おすすな用途として以下の2つに分類しました。サービス概要や特徴、主な機能を紹介しているので、ぜひ比較検討の参考にしてください。
- 対社内向け課題におすすめのAIエージェント
- 対顧客向け課題におすすめAIエージェント
Agentforce
株式会社セールスフォース・ジャパン
出典:Agentforce
対社内向け課題・対顧客向け課題におすすめAIエージェント
Agentforceは、Salesforceが提供するAIエージェント基盤で、CRM上の業務を「対話→判断→実行」までつなげやすい点が特徴です。顧客データや営業・サポートのプロセスと結び付けて、現場の実務で使う前提のエージェント設計を行えます。
特徴は、Salesforceの各アプリやワークフローにまたがってエージェントを設計・展開しやすいことです。既存の業務ルールやデータ構造を活かして、部門ごとに“使える形”へ落とし込めるため、導入後の運用イメージを描きやすくなります。
実務面では、顧客・案件などの情報を参照しながら回答や提案を行い、次アクションの提示や入力・更新といったSalesforce上の作業まで支援できます。問い合わせ対応では、状況確認の追加質問を挟みつつ、社内ルールに沿った案内を行い、必要に応じて担当者へ引き継ぐ設計も可能です。最終承認を人が担う運用にすると、実行系の自動化にも段階的に広げやすくなります。
主な機能
- 自然言語での対話
- AIによる文 書作成
- ワークフロー自動実行
- 細かなカスタマイズ
Google Cloud Vertex AI Agent Builder
Google LLC
出典:Google Cloud Vertex AI Agent Builder https://cloud.google.com/products/agent-builder?hl=ja
対社内向け課題におすすめのAIエージェント
Google Cloud Vertex AI Agent Builderは、Google Cloud上でAIエージェントを構築・運用していくためのサービス群として位置付けられます。企業内データや外部ツールと接続し、業務で使えるエージェントを作るための基盤として活用されます。
特徴は、エージェントの開発から運用までを見据え、組織利用で求められるセキュリティや管理の考え方を取り込みやすい点です。用途別にエージェントを用意し、段階導入で精度や運用ルールを詰めていく進め方にも向いています。
社内ナレッジや業務システムと接続したエージェントを構築し、対話だけでなく「調べる→まとめる→処理する」までの流れを業務に組み込めます。用途別にエージェントを用意して横展開したり、ツール連携やデータ参照を含むタスクを設計したりすることも可能です。小さな業務単位で検証し、運用・統制を効かせながら本番適用に進める形と相性が良いでしょう。
ChatGPT
OpenAI
出典:ChatGPT https://openai.com/
対社内向け課題・対顧客向け課題におすすめAIエージェント
ChatGPTに追加されたChatGPT Agent(エージェントモード)は、自律実行型のエージェント機能で、指示内容を分解しながら複数ステップのタスクを進 められる仕組みです。チャットで依頼するだけで処理を開始し、途中で追加質問をしたり、作業を中断・修正したりできるため、「人の指示+自動実行」を両立しやすい設計になっています。
特徴は、エージェントが複数のツールを使い分けてタスクを遂行する点です。必要に応じて確認を挟みながら進められるため、業務利用でも誤操作や見落としのリスクを抑える運用設計を取りやすくなります。
実務では、情報収集→比較→要約→資料化のように手順が長い作業をまとめて任せやすくなります。調査結果を整理して文章や表に落とす、データを集めてレポート化する、といった“成果物の作成”まで到達させやすいのが強みです。運用開始前に、利用可能プランなど自社の契約範囲で使える機能を確認しておくと安心です。
Gemini for Google Workspace
Google LLC
出典:Gemini for Google Workspace https://workspace.google.com/intl/ja/solutions/ai/
対社内向け課題・対顧客向け課題におすすめAIエージェント
Geminiは「文章を生成して答えるAI」に加えて、自律的にタスクを進めるAIエージェントの機能も提供されています。代表的には、Googleが「Agent Mode」をGeminiに導入する方針を示しており、ユーザーの依頼を受けて、検索・整理・実行といった複数ステップの作業を任せられる形を目指しています。
特徴は、ツールを使って行動できることです。エージェントモードのGeminiは組み込みツールにアクセスでき、さらにMCP(Model Context Protocol)サーバーやREST API呼び出しなどをツールとして利用し、タスク実行に活用できると説明されています。つまり「回答」だけでなく、外部機能と連携して処理を進める前提がある点が、エージェントらしさにつながります。
業務では、社内外の情報を集めて比較し、要点をまとめたレポートを作る、といった“調べる→まとめる”型のタスクから適用しやすいでしょう。さらにGemini Enterpriseでは、Google製・自社開発・サードパーティのエージェントを1つの安全な基盤で作成・展開・統制できるとされ、部門横断でエージェントを運用したい企業にも向きます。
ServiceNow
ServiceNow Japan合同会社
出典:ServiceNow https://www.servicenow.com/jp/
対社内向け課題・対顧客向け課題におすすめAIエージェント
ServiceNowは、IT運用や従業員向け業務などの領域で、AIエージェン トを業務プロセスに組み込みやすいプラットフォームです。問い合わせ対応などのフロント業務から、ワークフロー処理のようなバックエンド業務までつなげる発想で導入できます。
特徴は、既存のチケット・ワークフロー・ナレッジと連動させ、“業務の流れ”に沿ってエージェントを設計できる点です。単発のチャットで終わらせず、手続きや処理に接続して効果を出したいケースで検討価値が高まります。
現場では、従業員からの問い合わせ一次対応を受け持ち、必要な情報の提示や手順案内、チケット処理やワークフロー上の作業支援につなげられます。状況に応じて追加質問を行い、解決に必要な情報を揃えたうえで担当部門へ引き継ぐ、といった運用も組み立てやすいです。実行範囲は権限と承認ステップで制御し、リスクを抑えながら自動化を拡張できます。
主な機能
- 申請フォーマットの作成機能
- 申請へのコメント機能
- スマホアプリ(iOS)対応
- スマホアプリ(Android)対応
Zendesk
株式会社Zendesk
出典:Zendesk https://www.zendesk.co.jp/
対顧客向け課題におすすめAIエージェント
Zendeskは、顧客対応(CX)領域でAIエージェントを活用し、一次対応の自動化や解決までの誘導を支援するサービスとして導入されやすい選択肢です。問い合わせが多く、返信遅れや対応漏れを減らしたい企業で検討されることが多い領域に合います。
特徴は、FAQ的な自動応答にとどまらず、追加質問を挟みながら状況を整理し、解決に向けた会話を組み立てられる点です。有人対応への引き継ぎも前提に設計できるため、負荷軽減と品質維持の両立を狙いやすくなります。
運用イメージとしては、FAQ領域の一次対応を自動で担い、必要な確認質問を挟みながら状況を整理し、解決までの誘導を行います。難易度が高い案件や例外対応は、人に引き継ぐルートを設けることで、有人対応の負荷を下げつつ品質も保ちやすくなります。ナレッジ参照を前提にした回答設計にすると、誤案内や再問い合わせの抑制にもつながります。
主な機能
- 社内向けFAQ
- 顧客情報のポップアップ機能
- 自動応答機能
- 導入支援・運用支援あり
JAPAN AI AGENT
JAPAN AI株式会社
出典:JAPAN AI AGENT https://japan-ai.co.jp/agent/
対社内向け課題におすすめのAIエージェント
JAPAN AI AGENTは、日本企業の業務で頻出するテーマを想定し、職種別・業務別にAIエージェントを活用できるサービスです。社内向けの問い合わせ対応から、資料作成などのホワイトカラー業務まで、業務に寄せた形で導入を検討しやすいタイプです。
特徴は、日本語前提で運用しやすい点と、使い始めやすい“業務テーマ別エージェント”の考え方です。社内ルールや資料を参照する設計とも相性が良く、まずは社内ナレッジの活用を起点に広げたいケースに向きます。
実務では、社内規程やマニュアルを踏まえた問い合わせ対応に加え、メール文・議事録・報告書などの文書作成支援、情報検索や要約などをまとめて任せられます。業務テーマ別にエージェントを使い分けることで、部署ごとの課題に合わせた活用もしやすいでしょう。効果を出すには、まず対象業務を絞ってKPIを置き、 ナレッジ更新の運用まで含めて定着させる進め方が現実的です。
主な機能
- 自然言語での対話
- AIによる文書作成
- ワークフロー自動実行
- 細かなカスタマイズ
対顧客向け課題におすすめAIエージェント
クウゼン AIエージェントは、問い合わせ対応などのコミュニケーション起点の業務で、目的達成に向けて能動的に動くエージェントとして導入を検討しやすいサービスです。単なる自動返信ではなく、業務の流れに沿って処理を進める設計を想定できます。
特徴は、会話の中で必要情報を確認し、状況に応じて分岐しながら解決へ導く運用を組み立てやすい点です。社内向けにも顧客向けにも展開しやすく、運用ルール(引き継ぎ条件・確認手順)を設計して使う前提で整理しやすいでしょう。
一次対応の自動化を起点に、案内内容の標準化や、状況に応じた分岐対応などを業務フローに沿って設計できます。たとえば、必要情報をヒアリングし て回答候補を提示し、判断が必要なものは担当者に引き継ぐ、といった“現場で回る形”に落とし込みやすいです。誤案内を避けるために、参照元の提示や重要項目のレビュー導線を組み込み、運用品質を担保する設計が向きます。
主な機能
- 自然言語での対話
- AIによる文書作成
- ワークフロー自動実行
- 細かなカスタマイズ
Dify
LangGenius, Inc.
出典:Dify https://dify.ai/jp
対社内向け課題・対顧客向け課題におすすめAIエージェント
Difyは、AIエージェントを“使う”だけでなく“作る”側に寄った、開発・運用プラットフォーム型の選択肢です。業務に合わせてワークフローやツール連携を組み、社内固有の手順をエージェントとして実装したい場合に検討しやすくなります。
特徴は、RAG(社内 文書参照)やワークフロー設計、外部API連携などを組み合わせ、業務の流れをそのままエージェント化できる点です。プロンプトだけでなく処理の分岐や検証観点まで設計できるため、運用改善を前提にした構築がしやすいのもポイントです。
業務側では、社内データ(RAG)を参照する回答エージェントを作ったり、分岐のあるワークフロー型のエージェントを組んだりして、タスクを“実行まで”つなげる設計が可能です。外部API連携を絡めれば、確認→作成→登録のような一連の流れも自動化しやすくなります。まずは小さな業務に限定して検証し、ログを見ながら改善する運用が成果につながりやすいでしょう。
対社内向け課題におすすめのAIエージェント
LITRONは、文書理解(読解)や情報抽出を起点に、業務で扱う大量のテキスト情報を整理・活用しやすくする方向で導入を検討できるサービスです。規程・申請・手順書など、文書が多い業務ほど課題が顕在化しやすいため、エージェント活用の入口として位置付けやすくなります。
特徴は、業務文書を“読む・探す・整理する”負担を下げ、属人化しがちな知識を扱いやすい形に変える発想です。社内ナレッジの統合や検索性の向上は、問い合わせ削減や品質平準化にも波及しやすい領域です。
文書読解・情報抽出を起点に、規程・申請・手順書など「文書が多い業務」の検索や整理を効率化し、意思決定に必要な情報を取り出して活用できます。部門をまたいで散在する情報を集約しやすくなるため、属人化の解消や標準化にもつながりやすいです。まずは問い合わせの一次切り分けや、文書確認の工数が大きい工程から適用すると、効果の説明もしやすくなります。
主な機能
- 自然言語での対話
- AIによる文書作成
- ワークフロー自動実行
- 細かなカスタマイズ
AIエージェントとは、人の指示を理解し、状況に応じて判断しながらタスクを実行する自律型のAIシステムのことです。近年はAIの発展により、情報検索や文章生成、外部システムとの連携など、複雑な業務に対応できる点が評価されています。
社内問い合わせの一次対応や資料作成、申請処理の自動化など、バックオフィス業務との相性が良い点も特徴です。AIの進化により、人手では時間がかかる作業を短時間で処理できるようになり、企業の生産性向上を支える重要なツールとして注目されています。
ここからは、以下の4点に着目してより詳しく確認していきましょう。
- 基本機能|AIエージェントでできること
- AIエージェントを導入するメリッ ト
- AIエージェントと生成AIの違い
- AIエージェントの種類

AIエージェントは、人が行ってきた情報整理やタスク実行を自動化できる点に価値があります。自然言語処理と生成AIの仕組みにより、単なる回答にとどまらず、実際の業務を動かせるのが特徴です。こうした特性から、バックオフィスや顧客対応など幅広い領域で活用が進んでいます。AIエージェントの基本機能として、以下のようなことができます。
AIエージェントでできる主なこと
- 問い合わせ対応の自動化:社内規程、ツールの使い方、よくある質問への回答
- 情報検索・要約:社内ドキュメントの検索や会議資料の要約
- 文章生成:メール文、議事録、報告書などの作成
- 外部システム連携:勤怠・申請システムの操作、ステータス確認
- タスク実行:データ整理、ファイル作成、レポート更新
- 意思決定サポート:選択肢比較、手順の提案、リスク評価
例えば、総務部では「備品の申請方法」や「入退館の手続き」といった質問をAIが即時回答し、担当者を確認業務から解放できます。また、営業部では顧客情報を参照したメール草案を生成や、資料作成の時間短縮などに効果的です。このように、AIエージェントは業務全体を底上げする役割を果たすため、効率的な働き方を実現しやすくするでしょう。

AIエージェントを導入すると、業務効率化とコスト削減に直結する効果が期待できます。定型作業の多くは人が対応する必要がなくなり、生産性の向上が可能です。特に、人手不足の課題を抱える企業にとっては、持続的に業務を回す手段として導入が進んでいます。導入によって期待できる主なメリットは以下のとおりです。
AIエージェント導入で得られる主なメリット
- 対応スピードの向上:問い合わせや検索が即時に処理される
- 工数削減:問い合わせ一次対応・資料作成などの時間を短縮
- ミス防止:手入力や情報探しのミスを減らす
- 業務品質の安定化:誰が使っても同じ品質のアウトプットを得られる
- 24時間対応:深夜や休日の問い合わせにも自動で応答可能
- 担当者負荷の平準化:作業量の繁閑差を吸収しやすい仕組みを構築できる
例えば、社内ヘルプデスクではAIエージェントが一次回答の多くを対応し、担当者の対応件数を大幅に軽減できます。また、レポート作成をAIに任せることで、分析そのものに集中しやすくなります。
こうした積み重ねにより、業務のスピードと品 質が両立し、組織のパフォーマンスを底上げできます。適切な運用体制を整えることで、自社に合った効率化の仕組みを長く維持しやすくなるでしょう。

AIエージェントは、目的や判断方法の違いによっていくつかのタイプに分類されます。それぞれの特徴を理解しておくと、自社の課題に合ったエージェントを選びやすくなります。一般的には「反射型」「目標ベース」「学習型」といった分類が用いられますが、より複雑な業務には「効用ベース」や「階層型」「マルチエージェント」も役立ちます。
これらは、判断基準の持ち方や役割分担の仕組みに違いがあり、求める成果に応じて適切なタイプを選ぶ必要があります。導入前に種類を把握しておくことで、必要な機能や運用方法を整理しやすくなり、導入後のギャップも避けやすくなるでしょう。
反射型エージェント
反射型エージェントは、現在の状況に対して即座に反応するシンプルな仕組みを持つタイプです。過去の履歴や複雑な判断を行わず、あらかじめ決められたルールに基づいて動作する点が特徴といえます。主に「入力 → その場での反応」という流れで処理するため、動作が軽く、処理速度が求められる場面に向いています。
例えば、特定のキーワードに対して定型文を返すチャットボットや、単純なアラート通知システムなどが該当します。複雑な判断はできませんが、明確な条件がある領域では安定して動作します。業務全体を自動化する用途には向きませんが、一部の単純作業を自動化したい場合に活用すると効率化が期待できるでしょう。
目標ベースエージェント
目標ベースエージェントは、設定されたゴールに向かって最適な行動を選択するタイプです。具体的な「目的」や「達成条件」を基準に意思決定を行うため、複数の選択肢がある場面でも柔軟に対応できます。行動の結果を踏まえながら、ゴールに近づくためのルートを選ぶという性質を持っています。
例えば、問い合わせ対応で「最短で問題解決に到達する」という目標を設定した場合、ユーザーの質問に応じて必要な情報を順序立てて提示する動きが可能です。また、営業業務では「見積提出までのステップを案内する」といったタスクにも適しています。明確なゴールを可視化できる業務では、効果的に活用しやすいタイプのエージェントといえるでしょう。
学習エージェント
学習エージェントは、経験やデータを基に行動を最適化していくタイプです。過去の判断結果を蓄積し、徐々に精度を高めながら成長するため、環境の変化に適応しやすい特徴があります。強化学習や機械学習の技術を用いるケースが多く、試行錯誤を通じて最適な行動パターンを形成していきます。
例えば、サポート業務でよく寄せられる質問を学習し、徐々に回答内容を改善する動きが代表例です。ユーザーの傾向を把握することで、より自然な回答や的確な提案ができるようになります。ただし、学習には一定量のデータが必要になるため、運用時にはデータ品質や更新頻度にも注意を払う必要があります。継続的な改善を期待する業務に適したエージェントといえるでしょう。
効用ベース型エージェント
効用ベース型エージェントは、複数の選択肢のなかから「最も価値が高い」と判断される行動を選ぶ タイプです。メリットや満足度などの価値を数値化して、判断の基準にしています。この仕組みにより、状況に応じて比較衡量しながら最適な行動を選択できる点が特徴です。
例えば、問い合わせ対応において「回答スピード」「正確性」「コスト」などの指標を総合的に評価し、最もバランスの良い対応方法を選ぶ使い方があります。また、複数案から最適な提案を導きたい場合にも向いています。判断基準を明確に設定する必要はありますが、業務の意思決定を標準化したい場面では、大きな効果を発揮しやすいエージェントといえるでしょう。
階層型エージェント
階層型エージェントは、複雑な業務を複数の階層に分けて処理する仕組みを持つタイプです。上位層では全体目標の設定や計画を担当し、下位層では個別のタスクや具体的な指示を実行する構造になっています。大規模なプロセスを整理しながら動かせるため、体系的なタスク管理が求められる場面に適しています。
代表例として、プロジェクト管理や複数部署にまたがる業務の調整が挙げられます。上位層が大まかな方針を決め、下位層が細かな作業を実行することで、全体の流れを崩さずに処理を進められます。タスクが細分化されている組織では、効率性と一貫性を両立しやすく、再現性の高い運用ができる点が強みです。
マルチエージェント
マルチエージェントは、複数のエージェントが協力しながらタスクを達成する仕組みを持つタイプです。それぞれのエージェントが異なる役割を持ち、相互に連携しながら処理を進めるため、1つのエージェントでは対応できない複雑な業務にも対応できる点が特徴です。協調や交渉を行いながら問題を解決する性質があり、組織的な動きが求められる領域で力を発揮します。このタイプは、以下のようなケースで活用しやすいといえます。
- 情報収集 → 分析 → 文書生成 を複数エージェントで分担
- 複数部門の業務フローをAI同士が受け渡しながら処理
- 大量データの並列処理による高速化
- 専門性の異なるエージェントを組み合わせた高度な意思決定
例えば、レポート作成業務では「データ収集エージェント」が情報を集め、「分析エージェント」が内容を整理し、「生成エージェント」が文章化する流れが可能に なります。それぞれが得意分野を持つため、処理が高精度かつスピーディーな点も魅力です。また、業務単位でエージェントを配置することで、属人化しやすいプロセスも標準化しやすくなります。

AIエージェントと生成AIは似た概念として扱われることが多いですが、実際には役割が大きく異なります。AIエージェントは「自律的に行動するAIシステム」であり、生成AIは「テキストや画像を生成するAIツール」を指します。
AIエージェントと生成AIを区別して理解することで、導入目的に合った活用方法を選びやすくなるでしょう。両者を組み合わせることで、業務全体が自動化されやすくなり、より実践的なAI活用へつながります。
AIエージェントの特徴と強み
AIエージェントの強みは、対話だけで完結しない「行動」を実行できる点にあります。ユーザーの意図を理解し、必要な情報を集め、タスクを完了するまで動くことで、業務全体の効率化に寄与します。また、複数のアプリケーションやデータソースを横断して処理できるため、部門ごとに散在する業務を横串でつなぎやすい点もメリットです。
さらに、自律的に判断できるため、決められた手順をなぞるだけでなく、状況に応じて最適なアクションを選択できます。複雑な業務フローに対応しやすく、社内の問い合わせ対応・レポート作成・データ整理など、多岐にわたる活用が可能です。組織全体の生産性を引き上げる仕組みとして導入が進んでいます。
生成AIの特徴と強み
生成AIは、文章・画像・コードなどの「コンテンツを生成する能力」に特化したAIツールです。例えば、AIライティングツールなどが該当します。大量のデータを学習しており、高い言語理解と表現力を持つため、自然な文章生成や複雑な要約、アイデア提案に長けています。創造的な出力が求められる場面で力を発揮することが多いのが特徴です。
また、専門知識を自然言語で扱えるため、会議メモの整理や企画書の草案、カスタマーサポートの回答例生成など、ホワイトカラー業務の幅広い部分を支 援できます。ただし、生成した内容を自動的に実行したり、外部システムを動かしたりする能力は持ちません。そのため、生成AIは「知識や文章の生成」、AIエージェントは「タスク完遂」という役割で分けて活用するのが適切です。
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AIエージェントと生成AIの比較表
項目 | AIエージェント | 生成AI |
|---|
役割 | 自律的に判断してタスクを実行 | テキスト・画像などを生成 |
主な機能 | 外部システム連携、タスク自動化、意思決定 | 文章生成、要約、翻訳、アイデア出し |
動作の範囲 | 判断 → 実行まで | 生成まで(実行はしない) |
適した用途 | 問い合わせ対応、処理の自動化、業務フロー実行 | 文書作成、知識整理、説明文生成 |
強み | 業務全体の効率化、行動の自動化 | 高品質な文章生成、創造的アウトプット |
AIエージェントを効果的に導入するためには、機能の多さだけで判断するのではなく、業務との適合性を多角的に確認することが欠かせません。これから紹介するポイントを総合的に比較することで、自社の課題に適したAIエージェントを選びやすくなります。
ここからは、選び方の判断基準となるツールの比較ポイント を具体的に紹介します。

AIエージェントに期待できる自動化レベルは、推論能力の高さによって大きく変わります。推論能力とは、「状況を理解し、最適な判断や手順を導き出す力」のことで、単なる文章生成とは異なる重要な要素です。この性能が高いほど、より複雑な業務プロセスを任せられるようになります。
推論能力が求められるケース
- 条件が入り組んだ問い合わせへの対応(例:複数の規程を照らし合わせた回答)
- 曖昧な情報を整理し、最適な結論を導く処理
- 手順の優先順位付けや意思決定の補助
- 外部データを組み合わせた複合的なタスク実行
こうした高度な処理は、推論が弱いモデルでは誤解や判断ミスが起きやすく、実務の自動化が進みにくくなります。一方、推論能力が十分にあるAIエージェントであれば、ユーザーの意図を正確にくみ取り、状況に応じて手順を変更したり、最適なルートを選択しやすいです。
例えば、「この申請は誰に承認を依頼すべきか?」という質問でも、推論能力が高いAIなら部署構造・規程・申請内容などを統合して答えを導きます。単純なFAQとは異なる処理が可能なため、社内の実務でも活用範囲が一段と広がります。
推論能力はAIモデルごとに差が出やすいため、導入前に必ず評価しておきたいポイントです。精度の高いエージェントを選ぶことで、自動化の領域が広がり、長期的なROI(投資対効果)にもつながりやすくなるでしょう。
「記憶保持」と「長いコンテキスト」が高度な対話を実現する

AIエージェントが実務で力を発揮するためには、推論能 力に加えて「記憶保持(メモリ)」と「長いコンテキストを扱える能力」が欠かせません。メモリとは、過去の会話内容やユーザーの意図を保持する仕組みのことで、コンテキストとは会話全体の文脈を指します。これらが十分に備わっているほど、自然で精度の高い応答が可能になります。
記憶保持が弱いAIでは、少し前の会話内容を忘れてしまい、話が噛み合わなくなるケースが起こりがちです。一方、優れたメモリ機能を持つエージェントは、過去の発言や指示を踏まえて対話を進められるため、対話の質が高まりやすくなります。
「記憶保持(メモリ)」の効果が見られるケース
- 複数ステップの相談や手続き案内(例:申請方法の説明や複数条件のヒアリング)
- 継続的なプロジェクトサポート(例:進捗情報や過去の議論を踏まえた提案)
- 長い文書の要約と関連情報の結び付け
- ユーザーの意図を継続的にくみ取る会話
また、長いコンテキスト処理が可能なモデルほど、大量の 情報を読み込んで回答できるため、資料レビューや議事録要約、複数ファイルを横断した分析などにも対応できます。これにより、AIが単なる回答装置ではなく、助言や判断の土台を提供する「対話パートナー」として機能します。
業務で継続して使う場合、メモリとコンテキスト処理能力は満足度に直結します。導入時には、対応可能なコンテキスト長やメモリ設計の仕組みを比較し、運用に耐えられるかを確認することが重要です。文脈を保った自然な対話ができるAIほど、実務の効率化に大きく貢献するでしょう。
「マルチモーダル対応」ならテキスト以外の業務も任せられる

AIエージェントの性能を評価するうえで、「マルチモーダル対応」であるかどうかは重要な比較ポイントです。マルチモーダルとは、画像・音声・動画・ファイルなど複数の情報形式をAIが理解し処理できる能力を指します。テキスト中心のAIに比べて、対応できる業務領域が一気に広がるため、実務での活用価値が大きく高まります。
マルチモーダル対応のAIエージェントが力を発揮するケース
- 画像から情報を抽出する作業:画面からエラー箇所を特定、資料から文字情報を抽出など
- 音声の文字起こしや内容要約:会議録、インタビュー記録、セミナー動画の整理など
- PDFやスライド資料の内容理解と分析:表の読み取り、複数資料の関連性分析)
- 操作手順の説明を画像付きで補助:「このボタンを押す」のような視覚情報と結び付けた案内など
これにより、テキスト入力だけでは説明が難しい業務にもAIを組み込めるようになります。例えば、ITサポート業務では画面キャプチャをそのままAIに送るだけで原因調査が進み、ユーザーの負担が大幅に減ります。また、会議の録音データを読み込ませれば、要点を抽出した議事録を短時間で生成することもできます。
マルチモーダル対応の有無は、AIエージェントが「どこまで業務に入り込めるか」を左右します。図表の理解や音声処理が可能なモデルを選ぶことで、業務の自動化範囲が広がり、より 高い生産性向上を見込めるでしょう。
「応答速度」と「稼働の安定性」はストレスのないユーザー体験に不可欠

AIエージェントを業務で活用するうえで、応答速度と稼働の安定性は欠かせない要素です。いくら高性能なモデルでも、回答が遅かったり停止が頻発したりすると、利用者のストレスが増し、業務効率が下がってしまいます。
応答速度が求められるケース
- 社内問い合わせの一次対応(即時回答が期待される領域)
- 会議中の調査・要点抽出(リアルタイムで利用するシーン)
- 作業中の補助指示(手を止めずに作業を進めたい場合)
スムーズな体験を提供できるかどうかは、エージェントの採用後の定着度にも影響するポイントです。遅延が生じると、「使いにくい」「人のほうが速い」という印象につながり、AI導入の効果が薄れてしまいます。
また、安定稼働は継続利用の前提となる要素です。サービスの障害が発生しやすいツールでは、肝心な時に使用できず、業務プロセス全体に影響を及ぼします。
安定稼働に関する確認ポイント
- ピーク時の負荷に耐えられるか
- サービス提供会社のSLA(稼働率保証)の内容
- 障害発生時の復旧速度やサポート体制
- 応答速度の安定性(急激な遅延の有無)
応答速度と安定性は、ユーザー体験の質を左右する土台です。快適に使えるツールほど、社内での利用が広がり、業務効率化の成果も得やすくなります。導入前には、無料トライアルやテスト環境で実際のパフォーマンスを確認し、自社の利用環境に耐えられるかを必ず見極めることが重要です。
「外部ツール・API」との連携力が高いほど自律型エージェントとして実務をこなす

AIエージェントが「実務で使えるレベル」になるかどうかは、外部ツールやAPIとの連携力に大きく左右されます。高度な推論能力を持っていても、エージェント単体では情報取得や操作が制限され、思うように自動化が進まない場面が出てきます。業務システムとつながることで、AIが実際の作業を自律的にこなせるようになり、活用範囲が一気に広がります。
実務で求められる連携先
- 社内ツールとの連携:勤怠システム、ワークフロー、ナレッジ管理ツール、SFA/CRMなど
- 外部サービスとのAPI連携:Google Workspace、Slack、Notion、Salesforce、Teamsなど
- ファイル操作の自動化:PDF解析、Excel加工、レポート生成など
- データベースとの接続:情報検索・照会・更新までを自動で実行
例えば、営業部門ではCRMから顧客情報を取得し、AIがメール文を生成して送付準備まで行うことも可能です。また、総務部では申請システムと接続することで、AIが申請状況を確認し、必要な案内を自動で返すなど、実務に直結した使い方が増えます。
連携力の高いAIエージェントほど、タスク実行の幅が広がり、人が確認する工数を減らせます。導入時には、「API連携の種類」「標準対応しているサービス」「Webhook対応の有無」などを必ず比較し、自社の業務フローに合わせた拡張ができるかを見極めると良いでしょう。
料金体系や費用対効果を見極めて「継続できるツール」を選ぶ

AIエージェントは導入して終わりではなく、継続運用して初めて効果が積みあがります。継続運用するためにも、料金体系と費用対効果(ROI:投資対効果)を見極めて、「続けられるツール」を選ぶことが重要です。
初期費用が安く見えても、利用量に応じた従量課金や追加オプションでコストが膨らむケースがあり、想定外の支出が定着を阻む要因になります。比較する際は、月額料金だけでなく、総コストを分解して確認すると判断しやすくなります。
AIエージェントの主な費用内訳
- 初期費用:導入支援、設定、既存データ整備の費用
- 月額費用:アカウント数課金/機能別プランなどの固定費
- 従量課金:API利用量、実行回数、処理データ量に応じた変動費
- 追加費用:連携機能、セキュリティ強化、監査ログなどのオプション
- 運用コスト:チューニング、人手での確認、ナレッジ更新の工数
また、ROIは「削減できた時間・人件費」だけでなく、「業務品質の安定化」や「対応スピード向上」といった効果も含めて評価すると現実に近づきます。例えば、問い合わせ対応が自動化されれば担当者の工数が減り、繁忙期の負荷も平準化しやすくなります。浮いた時間をコア業務に振り向けられるなら、費用以上の価値が生まれる可能性は十分あります。
コストの見立ては、トライアルで利用量を試算し、想定できるシナリオ別に見積もるのが安全です。無理なく運用を続けられる価格設計のツールを選ぶことで、AIエージェントの効果を長期的に最大化しやすくなるでしょう。
導入検討者の共通課題!AIエージェントはこんな方におすすめ

AIエージェントは「便利そうだから導入する」よりも、現場にある具体的な詰まりを解消する目的で検討したほうが効果が出やすいツールです。問い合わせ対応や情報検索、定型作業のように、日々の業務で時間を奪われやすい領域では特に導入メリットが表れやすくなります。
まずは自社がどの悩みに当てはまるか整理しておくことが重要です。以下の課題を抱えている場合は、AIエージェント導入の優 先度は高いと考えられるでしょう。
導入をおすすめしたい「対社内の課題」
- 社内問い合わせが集中する部門:情シス・総務が一次対応で手いっぱいになり、本来業務が進まない
- ナレッジが散在している環境:規程や手順が点在して見つからず、結局人に聞いてしまう
- 定型業務に追われるチーム:申請処理や転記、定例レポートを毎月手作業で回している
- 属人化が進んだ現場:担当者しか分からず、休みや異動のたびに引き継ぎが混乱する
- 繁忙期に対応が破綻する組織:入社・期末に作業が集中し、待ちや対応漏れが起きる
導入をおすすめしたい「対顧客の課題」
- 問い合わせが多い企業:返信が遅れがちで漏れも出やすく、残業が増えている
- 回答品質を揃えたい企業:担当者で案内がぶれて、誤案内や再問い合わせが起きる
- 有人対応に偏っている企業:簡単な質問まで人が対応し、難しい案件に 時間を割けない
- 窓口が分散している企業:メールやチャットが分断され、履歴が追えず同じ説明が繰り返される
- 情報確認に時間がかかる組織:履歴・仕様の確認に手間取り、提案や解決が遅くなる

AIエージェントの活用は、問い合わせ対応の効率化にとどまらず、社内ナレッジの検索・要約、経理や請求などの業務フロー自動化まで広がっています。とはいえ、「どこから着手すべきか」が分かりにくいのも事実です。
ここでは導入イメージが湧きやすい3つのシーンを取り上げ、実際の企業での活用事例をご紹介します。実際の成功例を通じて、導入検討のイメージを深めてみましょう。
「問い合わせの波を吸収しつつ、返信遅れや対応漏れを減らしたい」というニーズに合う導入シーンです。AIエージェントを一次窓口に置くことで、定型質問は即時回答し、個別対応が必要な内容だけを有人に引き継ぐ運用がしやすくなります。
実際の活用事例
キンコーズ・ジャパンで、問い合わせ対応の負荷を下げつつ顧客接点を増やす目的でチャットボットを活用した事例が紹介されています。導入後は入電数を30%削減し、加えて新たに月500件の顧客接点を創出したという内容が掲載されています。
サポート人数を大きく増やさずに運用しながら、問い合わせの受け皿を拡張していく考え方は、一次対応をAIに寄せたい組織にとって参考になるでしょう。
出典:Chat Plus+導入事例
「規程や手順書は整っているのに、見つからない・読まれない」という課題に対する導入シーンです。AIエージェントを「社内の問い合わせ窓口」にすると、質問文の意図をくみ取り、規程・マニュアルを参照しながら要点を返せます。検索負荷を下げられるため、情シス・総務・人事などの一次対応を軽くしつつ、社員の自己解決も促しやすくなります。
実際の活用事例
京都銀行は、本支店間の問い合わせ対応を効率化する目的で、行内の規程やマニュアルを参照して生成AIが回答を作成する「ドキュメント型チャットボット」を導入し、全部店で活用を開始したと公表しています。
対象は当初、預かり資産業務に加えて人事・総務・システムなどの行内手続きに関する規程・マニュアル(約1,000)で、最終的には年間8,000時間分の業務量削減を見込むとしています。社内ナレッジを「使える形」で返す設計は、社内検索・照会の即戦力化を狙う導入イメージとして分かりやすい例です。
出典:京都銀行生成AIチャットボットを全部店で活用
バックオフィスの業 務フローを自動実行するために導入
「申請・照合・確認・差し戻し」といった反復作業が多いバックオフィスで、AIエージェントに判断と実行をさせる導入シーンです。単に文章を作るのではなく、領収書・申請内容・規程・過去履歴を突き合わせて処理を進められるため、工数削減だけでなく処理品質の平準化にもつながります。
実際の活用事例
日東電工では、エージェント型AIを活用し、経費精算業務の改革を進めた事例が報じられています。BPOも活用しながら業務改革を進める中で、エージェント型AIによって経費精算の9割を自動化した旨が紹介されています。
領収書の読み取りや照合など、手作業が残りやすい工程にAIを組み込むことで、経理側のチェック負担を抑えつつ処理を回す方向性が具体的にイメージできます。
出典:ITmedia日東電工、エージェント型AIで経費精算の9割を自動化

AIエージェントの費用は、「初期費用」「固定費用」「従量課金」「追加費用」の4つに分けると理解しやすくなります。継続利用にかかる大部分は、「固定費用」「従量課金」の2つにかかる費用です。それに加え、導入時にかかる「初期費用」と「追加費用」として外部ツールの連携や開発をした際に費用が追加されることがあります。
月額の安さだけで判断せず、連携費や運用費も含めた総コストで比較すると、導入後の想定外を減らしやすくなります。
費用区分 | 代表的な内容 | 料金目安(概算) | 金額が動きやすい要因 |
|---|
初期費用 | 要件定義、初期設定、ナレッジ整備、導入支援 | 0〜300万円 | 対象業務の範囲、既存資料の整備状況、支援の厚さ |
月額(固定) | ID課金、機能別プラン、管理機能、監査ログ、サポート | 10万〜200万円/月 | 利用人数、権限設計、セキュリティ要件 |
従量課金(変動) | API利用量(トークン)、実行回数、処理データ量 | 数万円〜数十万円/月 | 利用頻度、長文処理、マルチモーダル利用 |
連携・開発費 | 外部ツール/API連携、ワークフロー実装、カスタマイズ | 50万〜1,000万円 | 連携先の数、基幹系の難易度、追加要件 |
運用費 | チューニング、ナレッジ更新、品質チェック、教育 | 5万〜50万円/月 | 更新頻度、誤回答対策、運用体制 |
表を見ると分かるとおり、AIエージェントの費用は月額だけでは決まりません。特に差が出やすいのは、連携・開発費と運用費です。「最初は安く見えたのに、連携やセキュリティ要件を足したら高くなった」というケースが起こりやすいため、合計した総コストで把握することが重要になります。

AIエージェントは業務効率化に有効ですが、導入すれば自動で成果が出るわけではありません。特に、ハルシネーション(もっともらしい嘘を生成する現象)や情報漏えい、権限設計の不備は、運用トラブルにつながりやすいポイントです。
以下の表にAIエージェント導入における注意点をまとめました。これらの注意点を押さえたうえで、まずはリスクが低く効果測定しやすい領域から小さく始めると、導入の失敗を減らしやすいでしょう。
AIエージェント導入で注意するポイントと推奨対策
注意点カテゴリ | 起こりがちなリスク(何に注意?) | 推奨対策(どう防ぐ?) |
|---|
機密情報・個人情報の取り扱い | 入力データ範囲や保存・ログ、権限が曖昧だと情報漏えいにつながる | 入力ルールを明文化し、役割別の権限管理とログ監査を整備する。必要に応じてマスキングや持ち出し制御も行う |
誤回答への備え | もっともらしい誤回答が混ざり、誤案内や判断ミスが起きる | 参照元表示・根拠リンクを必須化し、重要項目は人が最終確認する承認フローを設ける |
ナレッジ整備と更新 | 古い・不正確な情報が残ると回答品質が落ち、信頼を失う | 更新担当と頻度を決め、棚卸し・版管理を運用に組み込む。重要文書から優先的に整備する |
権限・実行範囲の設計 | ツール連携で実行まで任せると、誤操作の影響が大きい | 実行できる操作を限定し、確認画面や承認ステップを必須化する。取り消し手段も用意する |
現場定着(利用が広がらない) | 使い方が曖昧で利用が止まり、効果が出ない | 対象業務を絞って成功体験を作り、KPIで効果を可視化する。利用ルールと教育もセットで実施する |
まとめ|自社課題に合うAIエージェントを選び段階的に効果を広げましょう
AIエージェントは、問い合わせ対応の効率化だけでなく、社内ナレッジ活用や業務フローの自動化まで担えるため、導入目的を明確にすれば大きな効果が期待できます。一方で、成果はツール任せでは生まれにくく、推論能力やメモリ、連携力などの比較ポイントを押さえた選定が欠かせません。
加えて、機密情報の取り扱い、誤回答対策、権限設計、ナレッジ更新といった運用面の設計も重要です。まずは効果が測りやすい領域で小さく始め、KPIで改善を確認しながら対象業務を広げると、投資対効果を説明しやすくなります。自社の課題と運用体制に合うAIエージェントを選び、無理なく継続できる形で業務変革につなげていきましょう。
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