AI開発費用ガイド|導入費用の相場を徹底解説!開発費用をおさえるコツや事例も紹介
更新日 2025年09月11日

AI開発の費用は、その目的や開発手法、機能の複雑性によって大きく変動します。一般的に、AI開発の初期費用は数十万円から数百万円、大規模なものでは数千万円以上かかるケースもあります。内訳としては、要件定義、データ収集・前処理、モデル開発、テスト 、運用保守など、多岐にわたる工程の費用が含まれます。
この記事では、AI開発の費用相場や内訳、費用を抑えるポイントについて解説します。また、開発後のランニングこともご紹介。AI導入を検討している企業の担当者方は、ぜひ参考にしてみてください。

企業の未来を左右するテクノロジーとして、AI開発への注目が日々高まっています。調査会社のPwCコンサルティングのレポート(※)によると、日本企業で生成AIの活用・推進に取り組んでいる企業は全体の67%にのぼります。 この数字は、生成AIの活用に「未着手・断念」と回答した企業9%を大きく上回っており、多くの企業が生成AIを経営課題の解決策として捉え、導入を進めている状況がうかがえます。
生成AIの活用範囲は多岐にわたり、業務効率化や新規事業創出など幅広い分野での利用が期待されています。しかし、活用に取り組んでいる企業でも、その多くがまだ初期段階にあり、本格的な導入に向けては、さまざまな課題を抱えています。今後、これらの課題を解決し、AIの導入をさらに加速させることが、日本企業の競争力強化に繋がるでしょう。
出典:(※)PwC Japanグループ「生成AIに関する実態調査2024 春 米国との比較」 PwC Japanグループ「生成AIに関する実態調査2024 春 米国との比較」

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PRONIアイミツでは、「HPを作りたい企業」と「システム開発会社」をマッチングさせるサービスを提供しています。 そんなPRONIアイミツ経由で発注された「ホームページ制作の受注金額データ」をまとめ、AI開発の費用相場をご紹介します。
集計したデータによると、AI開発の平均費用相場は、242万円ほどでした。
ただし、この金額はあくまで目安であり、開発するAIの種類や目的、機能の複雑さによって大きく変動します。例えば、既存のデータを分析して予測を行うシンプルなAIは比較的安価に開発できますが、自然言語処理や画像認識など高度な機能を搭載するAIは、より高額になる傾向があります。


AI開発の費用は、開発するAIの目的や機能によって大きく変動します。ここでは、代表的なAI開発の目的を3つに分け、それぞれの費用相場と特徴について解説します。
自社の課題解決に最も適したAIと、それにかかる費用を把握し、より計画的なAI導入を可能にしましょう。
業務効率化AIは、定型業務の自動化やデータ分析など、幅広い業種で導入が進んでいます。費用は、その規模によって「PoC(概念実証)レベル」、「業務利用前提」、「全社導入レベル」の3段階に大きく分けられます。 PoCレベルの小規模開発であれば、500万円程度から、全社導入の大 規模開発であれば、3,500万円以上の費用がかかります。
開発規模 | 費用感 | 開発イメージ |
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小規模開発(PoCレベル) | 500万〜1,500万円 | ・お試しで検証・大規模な投資前の限定的なAI開発 |
中規模開発(業務利用前提) | 1,500万〜3,500万円 | ・特定の部門への本格的な導入・既存のシステムとの連携や複数のタスクの自動化など |
大規模開発(全社導入レベル) | 3,500万〜1億円以上 | ・全社的な業務プロセスの自動化や最適化・高度なセキュリティ対策や運用・保守体制の構築を含む |
業務効率化に役立つAIは多岐にわたりますが、代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。
- データ入力
紙媒体の請求書や伝票などをAI-OCR(光学文字認識)で読み取り、システムに自動で入力。また、データ入力やファイルの整理などの作業をAIが自動化
- 製造業の品質管理
AIがカメラの映像から製品の欠陥を自動で検出し、不良品を識別 - 物流・サプライチェーン管理
AIが需要予測や在庫状況、輸送ルートなどをリアルタイムで分析。最適な物流計画を立案
AIは単なる自動化ツールではなく、データの分析を通じてより良い意思決定をサポートし、業務全体の最適化に貢献する存在です。これらのAI技術は、単独で使われるだけでなく、複数のシステムと連携することで、さらなる業務効率化を実現できます。
ChatGPTなどの生成AIの開発費用相場
ChatGPTやGoogle Geminiなどの生成AIも業務効率化AIの代表格です。ゼロから開発するには、数百億円規模の費用がかかるため、多くの企業はOpenAIが提供するAPIを利用します。既存サービスにChatGPTの機能を組み込む場合の費用相場は、100万円から数千万円程度です。
ChatGPTを含む生成AIは、単なるデータ入力などの定型業務だけでなく、「文章」や「思考」を扱う幅広いタスクを効率化できるのが強みです。具体的には、文書作成や情報収集、プログラミング支援、アイデア出し、議事録作成などを大幅に効率化することがでます。
今後、生成AIは単なる流行ではなく、企業の競争力維持・向上に不可欠なインフラの一つとして、さらに利用が拡大していくと予測されます。
カスタマーサポート向け!「顧客体験(CX)向上AI」の開発費用
顧客体験を向上させるAIは多岐にわたりますが、代表的なもの にチャットボットとレコメンデーションAIがあります。
種類 | 初期費用 | 月額費用 |
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AIチャットボット | 200万円~ | 月額5万円〜100万円以上 |
レコメンデーションAI | 500万〜3,000万円以上 | 数十万から数百万円 |
チャットボットは、外部システムとの連携や自然言語処理の精度を 高めるほど費用は上がります。一方、ECサイトなどで顧客に最適な商品を推奨するレコメンデーションAIは、さらに高額になる傾向があります。大量のデータを分析し、複雑なアルゴリズムを開発するためです。
これらの費用はあくまで目安であり、開発するAIの機能や規模によって大きく変動します。AI導入の際は、自社の課題と目的を明確にし、費用対効果を慎重に検討することが重要です。
マーケティング向け!「データ分析・予測AI」の開発費用
データ分析・予測AIは、過去のデータから未来の動向を予測し、マーケティング戦略を最適化を実現できます。その中でも、代表的な「需要予測AI」の開発費用は、
特定の店舗や商品に絞った基本的な予測機能を実装する小規模な開発の場合で、300万円から400万円が目安です。
一方、販売履歴に加えて気象データやSNSトレンドなど、複数の外部データを複合的に分析する大規模なシステムを構築する場合、500万円から800万円以上かかるのが一般的です。これらのAIは、需要予測のほか、株価予測や不正検知 などにも応用されています。
開発規模 | 費用 |
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小規模 | 300万~400万円 |
大規模 | 500万~800万円以上 |
AI活用のランニングコストは「AI利用料」「インフラ費用」「運用・保守費用」の3つ

AI活用におけるランニングコストは、主に「AI利用料」「インフラ費用」「運用 ・保守費用」の3つに分けられます。
AI利用料 | AIのAPIやSaaSのサービス利用料 |
インフラ費用 | AIを動かすためのサーバーやストレージ、ネットワークなどの費用 |
運用・保守費用 | システムの稼働監視やトラブル対応にかかる費用 |
まず、AIのAPIやSaaSを利用する場合、「AI利用料」として毎月定額または従量課金が発生します。これは、AIの機能そのものを使うための費用です。次に、AIを動かすためのサーバーやストレージ、ネットワークなどの費用が「インフラ費用」としてかかります。AIの処理量が多いほど、この費用は増加します。
最後に、システムが正常に稼働しているか監視した り、トラブルが発生した際に修正したりする費用が「運用・保守費用」です。
これらの費用は、AIの利用規模やシステム構成によって大きく異なり、月額数万円から数百万円以上になる場合もあります。したがって、導入前にはどのような項目に費用が発生するのかを把握しておくことが重要です。


AI開発は多額の費用がかかるイメージがありますが、適切な戦略を立てることでコストを抑えることが可能です。ここからは、AIプロジェクトを成功に導きながら、開発費用を効率的に管理するための具体的な方法を解説します。
PoC(概念実証)の徹底と段階的導入で投資リスクを抑える
PoC(概念実証)の徹底と段階的導入は、AI開発費用を抑えるための効果的な方法です。このアプローチによって、莫大な費用と時間をかけた後にプロジェクトが失敗するリスクを大幅に減らせます。
PoCでは、AIが技術的に実現可能か、また事業的な効果が見込めるかを、まずは小規模で検証します。このプロセスで得られたデータは、本格的な開発に進むべきかを判断する重要な根拠となります。
例えば、まずは特定の部署や業務に限定してAIを導入し、その効果を測定。もし期待通りの成果が出れば、次の段階として対象範囲を徐々に広げていくという形で、投資を段階的に進めることができます。
PoCの徹底・段階的な導入は、費用対効果を高め、AI開発の投資リスクを最小限に抑えるために不可欠な戦略と言えます。
データ準備の効率化と内製化は、AI開発費用を抑える上で非常に効果的な方法です。AI開発費用の約8割は「データの収集・加工」に費やされるため、その段階から外部の専門業者に依頼すると、高額なコストがかかります。
例えば、社内に存在する既存のデータを活用したり、データを自動的に収集・整理するツールを導入することで、データ準備のプロセスを効率化できます。また、専門知識を持つ社員を育成し、データ準備を内製化することで、外注費用を削減し、長期的なコストパフォーマンスを向上させることもできます。
AIを活用したい特定の業務がある場合、自社開発よりもSaaSの導入を検討するのも賢明な選択です。自社でAIシステムをゼロから開発する場合と比べて、初期投資や運用コストを劇的に削減できます。
SaaSとして提供されるAIサービスは、専門的な知識を持つ人材の確保や大規模なサーバー、高価な開発ツールなどのリソースが不要で、月額料金や従量課金制で手軽に利用できます。
例えば、カスタマーサポートにAIチャットボットを導入したい場合、月額料金制のAIチャットボットSaaSを利用できます。これにより、開発費用や運用コストを大幅に削減できるだけでなく、迅速にAIを導入し、すぐに業務効率化を図ることができます。
DX支援などに対応する補助金・助成金の活用は、AI開発費用を抑える有効な手段です。
国や地方自治体は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援するため、AI導入に関連する費用を補助する制度を多数用意しています。
これらの制度を利用すれば、開発費用の最大半分以上が補助されるケースもあり、企業の経済的負担を大幅に軽減できます。例えば、「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」は、AIを活用した生産性向上や新サービス開発に活用できる場合があります。これらの補助金は申請に手間がかかりますが、専門家を活用することで採択率を高めることも可能です。
公的な補助金や助成金の情報を積極的に収集し、自社のAI導入計画に合った制度を活用することで、 初期費用を抑えながらAI開発を進めることができます。
AI開発で気を付けるべき点は?ポイントは「要件の明確化」と「コミュニケーション」

AI開発は企業の競争力を高める強力な手段ですが、成功させるにはいくつかの重要な注意点があります。ここからは、AI開発を成功に導くために事前に把握しておくべきポイントを解説します。
AI開発を成功させるためには、目的と要件を明確にすることが重要です。このステップを怠ると、プロジェクトが方向性を見失い、期待した成果が得られないまま莫大な費用と時間を無駄にしてしまうことになりかねません。
例えば、「業務効率化」という漠然とした目的ではなく、「経理部門の請求書処理時間を20%削減する」といった具 体的な目標を設定することが不可欠です。さらに、「どのようなデータを使い、どのようなアウトプットを得たいのか」といった要件を詳細に定義することで、開発ベンダーとの認識のズレを防ぎ、開発の方向性が確実になります。
AI開発を始める前に、必ず「何のためにAIを導入するのか」「何をもって成功とするのか」を関係者間で徹底的に話し合い、文書化しておく必要があります。
AI開発では、運用体制と保守の計画を事前に立てることが極めて重要です。なぜなら、AIは一度開発したら終わりではなく、継続的なメンテナンスや改善が必要だからです。
モデル(AIが機械学習をする作業)の精度は時間の経過とともに低下する(モデルドリフト)場合があり、予期せぬトラブルが発生することもあります。これらを放置すると、システムが機能不全に陥り、導入効果が失われるだけでなく、ビジネスに大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。
誰がモデルの監視を行い、いつ再学習させるか、トラブル発生時の対応フローはどうするか、といった具体的な計画を立てておきましょう。また、保守を外部に委託するか、内製化するかを決定し、必要な予算と人員を確保することも大切です。
AI開発を成功させるには、開発ベンダーとの密なコミュニケーションが不可欠です。AI開発は専門性が非常に高く、ベンダーとの間で認識のズレが生じやすいもの。目的や要件が曖昧なまま進めると、プロジェクトの遅延や、期待していたものとは違うシステムが完成してしまうといった問題に繋がる恐れがあります。
プロジェクトの初期段階から定期的なミーティングを設けることはもちろん、プロトタイプの段階でフィードバックを積極的に行いましょう。また、専門用語を避け、誰もが理解できる言葉で丁寧に説明を求めたり、逆に自社の業務内容を詳しく伝えたりすることで、ベンダーはより正確なAIを開発できます。
ベンダーを単なる下請け業者と見なすのではなく、共通の目標を持つパートナーとして、密接に連携することが成功へ の鍵です。


AIは今や、特定の業界や大企業だけでなく、あらゆる分野で業務効率化や品質向上に貢献しています。ここからは、AI開発の実際の活用事例をご紹介します。
まずは、小売業の画像認識・解析システムの開発事例です。
目的 | 業務効率化 |
課題 | AI画像認識システムを導入することで、商品のクオリティのばらつきをなくし、品質向上と作業効率化をはかりたい |
開発費用 | 約88万円 |
【教育関連事業】AIを活用したチャット機能付き学習スマホアプリ開発
教育関連事業のスマホアプリ開発の事例をご紹介します。AI機能を活用したチャット機能付きのアプリを開発しました。
目的 | 顧客体験の向上 |
課題 | 資格取得に向けたAIチャット機能付きの学習アプリをリリースしたい |
開発費用 | 約600万円 |
製造業のディープラーニングシステム開発の事例をご紹介します。
目的 | 業務効率化 |
課題 | 年間10万件を超える受注があり、加工指示書の作成業務が発生している。これをAI化するシステムの開発をしたい |
開発費用 | 約900万円 |
まとめ|AI開発費用の相場を知って予算計画の策定・会社選びをもっとスムーズに
ここまでAI開発の相場や内訳、費用を抑えるポイントを解説しました。AI開発費用は、プロジェクトの規模や内容によって大きく変動するため、一概にいくらとは言えません。しかし、本記事でご紹介した各フェーズや目的別の費用相場を把握することで、より現実的な予算計画を立てることが可能になります。
AI導入を成功させるためには、費用相場を理解するだけでなく、目的を明確にし、PoC(概念実証)を通じて段階的に進めることが重要です。また、自社で全てを開発するのではなく、SaaSの活用や、補助金・助成金の利用を検討することで、初期投資を抑えつつ、AIの恩恵を受けることができます。
AI開発を依頼する際には、複数の開発ベンダーから相見積もりを取り、得意分野や実績、コミュニケーションの取り方などを比較検討しましょう。

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