AI-OCRを選ぶ際は、

・導入形態

・読み取り可能な文書範囲

・連携可能なシステム

・操作性

の4点が重要です。

導入形態は、低コストで手軽なクラウド型か、セキュリティ重視のオンプレミス型かをニーズに応じて選びましょう。また、対応できる文書の種類はサービスごとに異なるため、自社の帳票に適合するか確認が必要です。さらに、RPAや基幹システムと連携可能なツールを選ぶことで、データ転記や統合の効率化が進みます。操作性や認識精度を見極めるため、無料トライアルを活用し、自社に最適なAI-OCRを選定することが重要です。

AI-OCRの価格・料金相場は、クラウド型とオンプレミス型で大きく異なります。クラウド型AI-OCRの料金相場は、初期費用が無料から10万円程、月額料金は3万円から20万円程です。また、クラウド型では従量課金制を導入しているサービスも多く、処理する文書の枚数に応じて料金が変動します。

例えば、一定の無料枠を超えると1枚あたり数円から数十円の追加料金が発生することがあり、特に大量の文書を扱う企業ではコストが上がることがあります。月額料金固定制のサービスもあるため、料金を比較することをおすすめします。

一方、オンプレミス型AI-OCRは初期費用が高めで、導入時に10万円から数十万円かかる場合があります。オンプレミス型はセキュリティやカスタマイズ性に優れますが、メンテナンスやカスタマイズには都度費用がかかる点は考慮する必要があります。

導入コストは高いですが、機密性の高いデータを扱う企業や、既存システムと柔軟に連携したい企業にはオンプレミス型が適しています。

AI-OCRは非定型文書を含む多様なフォーマットの帳票の読み取りに対応しているため、入力作業を削減できる点がメリット。最近のAI-OCRは文字認識率が格段に高く、特に手書き文字や複雑なレイアウトでも高い精度でデータ化を行えます。

また、電子帳簿保存法の要件に沿ってデータ保存できるため、法令遵守にも貢献します。

精度は100％ではないため、完全自動化はできない

AI-OCRの精度は100％ではないため、完全自動化はできません。特に、縦書き文字の読み取り、癖の強い手書きの文字、特殊なフォーマットの帳票では、読み取りミスや誤認識が発生することがあります。

このため、文書処理を完全自動化することは難しく、重要なデータや法的に正確な記録を求められる業務では、最終的に人間による確認や修正が必要です。

AI-OCRは、画像やPDFデータをアップロードして文書を解析し、文字を認識する仕組みです。AIが機械学習で文脈を理解し、高い認識精度で必要な情報を抽出・分類します。

クラウド型では、ウェブブラウザを通じて文書をアップロードし、クラウドサーバーで処理されたデータをリアルタイムで取得可能です。メンテナンスはプロバイダーが行うため常に最新版を利用できます。一方、オンプレミス型は社内ネットワークで文書を取り込み、ローカル環境で処理を実行します。

これにより、インターネットに依存せず安定した運用が可能です。クラウド型は手軽さ、オンプレミス型はセキュリティや安定性が特長です。

AI-OCRの機能はサービスによって多岐にわたります。AI-OCRの主要機能である読み取り機能については、

・非定型帳票の読み取り

・手書き文字の読み取り

・縦書き文字の読み取り

・丸囲みやチェックボックスの読み取り

・多言語の読み取り

が挙げられます。

縦書き文字の読み取りに対応するAI-OCRは限定的です。多言語対応のAI-OCRは、英語のほかにも中国語、タイ語、ベトナム語など複数の言語を読み取れるものもあります。

読み取り機能以外の主な機能には、出力機能・帳票自動仕分け機能・精度向上機能・連携機能などがあります。帳票自動仕分け機能があると、帳票を読み取ったあとに識別し、自動で振り分けしてくれるため仕訳の手間が省けます。

AI-OCR市場では、いくつかの製品が主導的なシェアを占めています。特に、国内の多くの企業や官公庁に導入されている「DX Suite」は、国内シェアNo.1（※1）のAI-OCRツールとして高い評価を受けています。DX Suiteは、手書き文字や活字、FAX、写真からの読み取りなど、多様な形式の文書を高精度でデジタル化できる点が特徴。

「スマートOCR」もシェア率が高いサービスです。ベンチャー企業から大企業まで、利用企業数は1,800社以上（※2）で、官公庁への導入実績もあります。紙帳票データ化システムの特許取得済みという高い技術を持っていることが特徴で、文字認識精度は99.8%を誇ります。

オンプレミス型AI-OCRの国内シェアNo.1は「DynaEye 11」（※3）。ベリファイOCR機能により、作業時間を79％削減した事例があります。ベリファイOCR機能とは、異なる2つのOCRエンジンを使い、認識結果を自動で突合する機能です。経理担当者は一致しない結果だけをチェックすれば良いため短時間で確認作業が完了できることが強み。

OCR市場全体では、AI-OCRの需要が年々拡大しており、特に手書き文書や非定型文書の自動化が求められる企業にとって、導入のメリットが大きいでしょう。

※1)「DX Suite」公式サイトを参照。

※2)「スマートOCR」公式サイトを参照。

※3)「DynaEye 11」公式サイトを参照。

RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）とは、人がパソコン上で行っている作業をロボットによって自動化するシステムのこと。AI-OCRはRPAとの連携で、反復作業を自動化できます。AI-OCRとRPAを連携することで、紙やPDFからデータをAI-OCRが読み取り、RPAがそのデータを基幹システムなどに自動入力するプロセスを構築できます。

この連携により、手動で行っていたデータ入力や仕分け作業が不要となり、人的ミスが削減され、業務のスピードアップが実現します。また、RPAはデータ入力だけでなく、承認プロセスやファイル整理、書類の分類・保存などの定型業務も自動化可能です。エラー処理も含めて業務を滞りなく進められるため、全体の生産性が向上します。

AI-OCRとRPAの連携は反復作業の負担を減らし、企業の効率化に大きく貢献します。